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世界の少子高齢化についてTED talkで学んだこと Wajahat Ali : The case for having kids

ぶっちぎりで少子高齢化社会の問題に直面している日本ですが、何もこれは日本だけの問題ではありません。アメリカも中国も欧州も将来見込まれる人口減少の問題を抱えている。TED TalkでライターのWajahat Aliが行った少子高齢化を題材として「The case for having kids」を聞いたので内容を紹介します。

Wajahat Ali : The case for having kids

まだ観たことがなくて、ネタバレしたくない方はこちらをどうぞ。

減っていく世界の出生率

このスピーチのなかでは北米、ヨーロッパ、中国、日本を少子高齢化の代表例として取り上げつつ、今世界では過去50年間で出生率が半分になっていることに言及しています。そこで、少し調べてみると1970年には4.9程度だったものが、2019年では2.5に減少しています。凄い減少の速度ですね。
WHOの調査によると適正に世代交代していくためには、出生率が2.1以上必要とされており、2.1を切ってしまうと、若者比率が減少し、税収が減少、年金や医療といった社会保障システムを維持できなくなると予測されています。そして、このままいくと60年もすれば地球全体で出生率は2.1を切ってしまう予測がされています。星全体が人類高齢化の道を歩んでいるんですね。

各国の出生率低下と対策

fertility late changing
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まず、中国。中国といえば、私はまだ小学生のころに習った人口爆発のイメージが強いのですが、1979年に始まった「一人っ子政策」の効果もあり、中国の出生率も何十年も2を下回ったまま推移しているようです。そして、Ali(スピーカー)は、このままいくと2029年に人口のピークを迎えるといっています。遠いように見えてあと10年後の未来です。現在、中国政府は「一人っ子政策」とは真逆の方針、カップルに子どもを作ることを推奨しているようです。
続いて、Aliは日本についても言及します。彼によると、現在日本では赤ちゃん用のおむつより、老人用のおむつの方が生産(消費)されているとのこと。これは感覚としてあなたも実感できるのではないでしょうか。そして、政府はいまだに明確な少子化への対策を打てないままです。Aliは、移民による人口確保は難しい点が他の先進国とは異なると述べています。確かに、ヨーロッパや北米なんかでは陸続きの他国から移民が流入していますよね。
ヨーロッパ主要国は軒並み出生率が1.7くらいでハンガリーは1.45という状況。ハンガリーについては、政府は4人以上子どもがいる家は所得税免除にする政策を打ち出しているようですが、それもあまり効果を発揮していないようです。せめて3人以上、くらいの現実的な人数設定にしてほしいですよね。。ただ、もともとはこの政策、ハンガリー内のイスラム教徒率や有色人種率の増加を防ぐ(白人、キリスト教徒を増やして相対的に減らそうということ)とした政策のようです。いずれにしろ、うまくいっていませんが。
一方でフランスは2017年に出生率が上がっており、これは女性が仕事をしながら子育て出来る制度を整えていった効果だと、Aliは語っています。
ただ、ヨーロッパ全体でみると移民なく人口減少を食い止められていない状況です。
一方で、アメリカは2017年に過去最低の出生率となったとのこと。原因としてAliが挙げているのは、環境破壊による地球の未来への不安と、高額な出産費用です。アメリカは世界一出産に金がかかる国とのことで、保険なしだと何の問題もない出産の場合でも32,000ドル費用が掛かるとのこと。さらに、アメリカでは育児休暇が未だに認めれていないようです。Aliと奥さんは月に3,500ドルを子どものためにバージニア州に払っているとか。

世界の少子化対策へのメッセージ

Aliは冗談交じりに「子どもを持ったがために疲弊しているし、夢のポルシェではなくHONDAのオデッセイに乗っている」と語りながらも、子どもを持ったのは最高の決断だったといっています。赤ちゃんに多くの幸せを我々や世の中に運んできてくれてくれると。
そして、子どもを持つかどうかはとても個人的な選択ではあるが、子どもを作れる人たちはそうすべきだといいます。
国の経済や年金システムを支えるためではなく、赤ちゃんは人類の無限の可能性を持っていて、そんな子どもを育んでいくことこそ人生の価値あることだと。
そして、皆が子どもを作るという選択が出来るように、世の中をもっと子どもを育てやすい社会に子どもを育てている人に優しい社会を、と。

私が調べたことや思ったこと

ここからは、TED Talkで語られた内容ではなく、私が調べたことや考えたことなどです。
まず、今世界中で出生率がどのくらいなのか調べてみました。すると、以下のようにアフリカ以外はほどんどが1-2という状況、つまりWHOがいう2.1という数字をすでに切ってしまっているのです。こうみると、フランスはヨーロッパにおいて唯一の2-3という水準で、政策の成功がいかに凄い事か分かりますね。
fertility late
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一方で、地球の人口は今後も増え続けていくことが予測されています。医療技術の進歩により人がなかなか死ななくなるからですね。そして、今は日本が直面しているような超高齢社会問題が今後は中国、アメリカといった多くの人口を抱える国でも発生することになります。地球場が老人だらけになっていくということです。
その時、日本は高齢化の課題をクリアしていて、そのソリューションを世界に提供できるような、そんな国になっていればいいなと思っています。自分に出来ることが何かあればいいのですが。。。
私は、Aliと同じく小さな子どもがいるので、話がスッと自分の中に入ってきました。
毎日泣き叫んで、我が儘放題で、臭いオムツを取り換えて、と大変な面はたくさんありますし、やはりお金もかかります。
ですが、Aliが言うとおり、子どもは本当に私たちや周りに幸せを運んできてくれますし、私も新米の親ながら子育ては人生の一つの醍醐味だとも思っています。
最後に、彼の娘さんが助かることを心から願っております。

スピーチに出てきた単語

dictator : a ruler with total power over a country, typically one who has obtained control by force
dire : extremely serious or urgent.
profoundly : deeply
replenish : to fill something up again
souped-up  : (of a vehicle or vehicle engine ) modified so as to be more powerful
absurd : wildly unreasonable, illogical, or inappropriate.