なぜ英語が聞き取れないのか?その理由のひとつ、
音声変化について5つの音声変化のうち3つを前回記事で解説してきました。
本記事ではその続き、残りの脱落と弱系について解説いたします!
まだ前回記事を読んでいない方は、ぜひそちらからご覧ください!
5つの音声変化(続き)
脱落/Elision
特定のパターンで、本来読まれるべき音が
読まれない(脱落する)現象がおこります。
ここでは2パターンをご紹介します。
1)前の単語の末尾と後の単語の末尾が同じ子音の時
best trainとかgood dreamみたいに、
前の単語と後ろの単語の音が同じ時に、前の単語の方の音が省略されます。
これは一番一般的な音声変化で知っている人も多いのではないでしょうか?
なお、この脱落はスペル上の音ではなく、以下の例のように
発音記号が同じ際に発生する点に注意です!
例)nice song/
nάɪs sɔ'ːŋ(ナイス ソング)
→ nάɪsɔ'ːŋ
余談ですが、英語はスペルと読みが必ずしも一致しない
言語なので、始めて出てきた単語は都度発音記号を
確認することをオススメします!
ニュース原稿チェックの際に
知らない単語は辞書で発音を調べると
おっしゃってました!
2)語尾に破裂音が来たとき
破裂音とはp, t, k, b, d, gの音を指すもので、
発声するときに一度息を喉や舌、唇で止めて
放出とともに音を出すものになります。
例)stand up/
stǽnd ʌ'p(スタンド アップ)→ stǽnd ʌ'p(スタンダッ)
ここで、発音としてはpが完全に消えてしまうというよりも
音を出す直前まで空気をためるけど、出さない。という感じです。
ニュアンス的には「スタンダ」ではなく「スタンダッ」、
最後に足の小指をぶつけて、声を上げるのをこらえた時みたいな
そんな感じの、押し殺した「ッ」が入るんです!
dとuのところで結合もおきてますね!
3)子音と子音の間にくるt/k/d
例)exactly/
igzǽktli(イグザクトリー)→ igzǽk・li(イグザクッリー)
このように3つの子音が連続するような場合、
真ん中にくるt・k・dの音は脱落する傾向になります。
関連した発音のコツとして側面解放というものがあるのですが
そちらについては以下の記事で解説しています。
英語の教材を使ってシャドーイングやリピーティングをしたり、 発音練習しているのになかなかネイティブのような発音にならない、 何かが違うんだよなぁ・・・、そんなお悩みがある方は 側面解放「lateral release」 […]
ポイントは省力化して発音するために、
ためた空気を放出しながらしっかり音を出すのではなく、
放出せずに次の音に移るか、放出しても舌を動かさずに
空気を抜くように音を出すことです。
4)nとtが連続した時のt
例)twenty/
twénti(トゥエンティ) → twéni(トゥエニィ)
internet/
íntərnèt(インターネット) → ínərnèt (イナネッ)
この例では、末尾の破裂音tの脱落も起きていますね。
TwentyとかInternetの発音については結構聞く機会もありますので、
較的なじみがある音声変化ではないでしょうか。
無難に「インターネット」っていうか迷いませんか??
私は前回触れたようにイギリス発音をずっと勉強してきたのですが、
イギリス人講師の発音レッスンを受けていた時、
Internetを脱落した形で発音したところ、
きっちり「t」を発音するように直されたことがあります。
こちらも、Flappingと同じくアメリカ英語に顕著にみられる音声変化で
イギリス英語などでは普通に発音されています。
なので、自分がマネする必要は必ずしもなく、
アメリカ英語のリスニング力向上のために覚えておく知識になります。
弱形/Weak Form
恐らくこれが5つの中で一番私たち日本人を苦しめている
音声変化なのではと個人的には思っています。
イギリスの発音スクールで勉強していた時、
先生から「これが英語らしさを出すポイントなんだ」と
何度も私の発音を直しながら教えてくれました。
では、少し長くなりますが、弱形とは何なのかみてみましょう。
弱形とは母音の音変化のことで、
文脈によって同じ単語であっても母音が強く読まれたり
弱く読まれたりする、というものです。
ここで厄介なのは「強く」「弱く」というのが単純に声の大きさではなく
「音そのものが変わってしまう」ということです。
ここまでご説明してきた他の音声変化と異なり、
アクセント、ストレスについての理解が必要で
比較的ハードルが高い内容になるのですがなるべく簡単に
ご説明したいと思います!
まず、英語の母音(Vowel)には
弱母音(Weak Vowel)
短母音(Short Vowel)
長母音(Long Vowel)
複合母音(Diphthong)
といった種類があり、一つの単語の中で複数の母音が含まれる時に
アクセントが置かれる場所以外が弱母音として読まれ、
また、単語単位で見た時も文脈上強調されない部分については
母音が弱母音として読まれます。
例えば、
A: Where are you from?
B: I'm from London.
という2つの文中にあるFromですが、両者では発音が異なります。
一つ目のFromは教科書通りのfrɔ'm(フロム)という発音。
一方で、二つ目のFromは「frə'm」というように母音が変化します。
「ə」という部分が変化したもの、シュワーという弱母音で、
発音的にはほぼ読まれず、「フム」という感じになります。
実際、私はイギリス人の先生から、
「母音は読まないで良い」と教わりました。
実はこの弱形、強形というのは以下のように辞書で確認出来ます。
恐らくほとんどの方はこんなマニアックなとこまで
チェックしていないと思いますが(笑)
さて、弱母音には先ほどの「ə」以外にも「i」「u」「e」が含まれます。
ややこしいですが、これらは短母音とも区分されるため、
短母音の中で弱い母音が弱母音と覚えておくとよいでしょう。
そして、これが文章中でどのように影響してくるかというと、
Did you enjoy the show?という文を例に見ていくと、
まず、ルールとして
・単語の中でアクセントが置かれるところ
・文章中でストレスが置かれるところ
が強い母音、その他が弱い母音で読まれる、ということなので
アクセント:enjoy のjoy
ストレス:enjoyとshow
という場合にはDid you enjoy the show?は発音上、
/díd jə indʒɔ'i ðə ʃóʊ/となり、
赤部分以外は弱母音で読まれます。
分かりにくいですが、一応弱母音は青で色を付けています。。
そして、弱母音はほぼ読まれないような形になり、
例えば、youは「ユー」ではなく、「ユ」みたいな音になります。
発音記号でみると、youの強形は「júː」で弱形は「 jə」です。
そして、通常私たちが覚えている音は基本的に強形なので
弱形で発音されると、知っている単語でも認識できなくなってしまい、
何て言ってるのか分からない!ってことになってしまうんです。
音声変化に着目したトレーニング
さて、ここまで5つの音声変化について解説致しました。
では、どうやってこの音声変化を勉強して、
リスニング力向上に活かしていくかが一番大切な部分ですよね。
前回と今回、2つの記事のまとめとして、
最後に練習方法について触れようと思います。
1)独学する
もっともお手軽、お金もかからない方法といえば独学でしょう。
今回お伝えした5つのポイントを意識して、リスニング練習行うだけでも
リスニング力の変化を感じられると思います。
練習方法としては、うまく聞き取れなかった英語音源のスクリプトを入手し、
音声を聞きながらスクリプトを確認、そして今回解説した5つの音変化があれば、
その箇所に書き込みを行っていきます。
例えば、Good dayという部分は、Goodのdとdayのdがつながるので、
Good _day といった形で、音声変化が起きる部分をチェックしていきます。
そして、それを音読やシャドーイングすると効果的です!
その際に、こちらの本のような、一つ一つの発音記号毎の発音や、
音声変化について解説している本を参考にすると、
より効率的に、正確な知識に基づいて勉強出来るのでオススメです。
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